人は皆、何かしらの「安心」を求めて病院やケアに行くのではないでしょうか。人は誰もが「癒し手」になることができます。そして私たち専門家は、患者さん自身にその力があることを本当は知っています。病気のある人が、病気のない人を勇気づけることだってあるのですから。

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私は東京で生まれ、医療過疎地と呼ばれる千葉県で育ちました。9歳の頃、日本で唯一の患者かもしれないという難病になり治療薬もないまま瀕死の状態で入退院を過ごす日々でした。当時医師も看護師もなすすべのない私の状態を前に、時に背中をさすり、優しく声をかけ続け、そして何より患者としての私ではなく、1人の人間として「普通に」話をしてくれた、その傍ら必死に世界中の情報を集め、協力し合いながら研究をしてくださっていました。その全てが私の医療に対する姿勢の原点となっています。

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主治医から「病気があるから医療者になれないということはない」という言葉に後押しされ、人と関わる仕事がしたいと、理学療法士の道に進みました。

20年以上、理学療法士として病院勤務をしましたが、1人の乳がん患者さんとの緩和ケア病棟での出会いをきっかけにがん専門の理学療法士として働くために学び直しまし、福岡に来てからは乳腺、緩和ケアを専門の病院で働きました。

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がん患者さんの治療は全身に及びます。けれども保険診療で認められているリハビリテーションの範囲は全身治療とは限りません。例えば乳がん患者さんであれば、胸の手術をしてリンパ節を郭清した方のみがリハビリの対象です。

また抗がん剤治療が始まり、むくみや倦怠感、体力低下が目に見えていても、私には何もすることができませんでした。

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もっとトータルに患者さんを支えることはできないか。

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そう考えて病院を退職し独立をしました。どのようなサービスを行い、どのように進めていくと良いか。そのアイディアの多くを授けてサポートしてくれたのは、それまでに出会ったがん患者さんたちでした。彼女たちやご家族の率直な気持ちや意見に心から感謝しています。

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私たち専門家ができる範囲は実はとても限られています。全ての病を治癒することはできません。私が子供の頃そうであったように、多くは「なすすべがない」こともあるでしょう。でも少なくとも「その人らしさ」を取り戻す応援をし続けることはできます。専門的に関わることで、「ほっとした」「安心した」と自ら立ち上がって「自分らしさ」を取り戻す方、また旅立つ方たちの看取りにも関わらせていただきました。

 

人は誰もが癒し手になることができます。でも私はそれをより専門的に行う癒し手をもっと増やしていきたいと思っています。そのためにケアがどこでも受けられる環境の整備やセラピストの育成なども進めています。　

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1人でも多くの方が、「ほっとした」「安心した」と自らを取り戻すことができますよう、心を込めてサポートさせていただきます。

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　一般社団法人バラカメディカル

​　　　代表理事　今村さあら　

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